Eminem - Stan ft. Dido

2026年06月27日

エミネム

スタン feat. ダイド

back to 2000


この曲について♪

◆実は全米シングルチャート(Billboard Ho 100)では最高51位。

◆話題性だけでなく、エミネムの卓越したストーリーテラーの才能を世に知らしめた曲。

◆サンプリングされたDidoの「Thank You」がこの曲ヒット後に世界的知名度を獲得。


この曲の好きポイント♪

◎エミネムの役の切り替え、歌の中での演技が秀逸♪

◎どんどん狂気じみていくStanの姿の描写♪

◎繰り返しのトラックがストーリーを逆に強調している♪


【あるファンの狂気】

※2024年2月14日にアップした記事に歌詞の訳を追記した更新しました。

解説と歌詞の訳に矛盾があるかもしれまんが、そこは目を瞑ってください。

(記事を書き直すのがめんどくさい…とかの理由ですw)


1999年にいきなり爆発的に売れた印象のエミネム。

デビュー曲の「My Name Is」や「The Real Slim Shady」の印象からイロモノ的に思っていました。

しかしこの曲でイメージが180度変わりました。


MVを含めて鳥肌ものです。

曲自体が6分45秒ですが、そのストーリーに引き込まれる、長さを感じない曲です。

ロングバージョンMVは8分超えの大作ですが見入ってしまいます。


冒頭から流れる女性の優しい歌声はUKのシンガー、Didoです。

この曲で注目を浴びてブレイクしました。

ダークな雰囲気に憂いある感じの歌がもの悲しさを増幅させています。

このMVにもガールフレンド役(妊娠しているのに妻ではない?)として出演しています。


トラックはシンプルなベースとドラムと微かなギターの音のみでラップの部分をしっかり聴かせます。

場面ごとに色々な効果音が組み込まれ、物語性と陰湿さを醸し出しています。


曲名の「Stan」はエミネムの熱狂的ファンの名前(Stanley君)です。

田舎町に住むスタン。

彼は熱狂的なエミネムのファン。

彼宛にファンレターを書くも全く返事が来ない事を不満に思っていた。

月日が流れるうちに不満は怒りへと変わり、我慢の限界が近づいていた。

そんなある夜、彼のガールフレンドが取った行動により遂に彼の理性が吹き飛んでしまう…


どうですか?

ちょっと映画の紹介っぽく書いてみましたw


この曲はMVを見ながら聴くのがオススメです。

なのでMVと歌詞を同時進行で書きますね。


冒頭から雨の夜、お腹に子どものいる彼女(Dido)が目を覚ましてバスルームに行くと…

既にこの雰囲気、怖いですね〜


まずはDidoが歌っている歌詞、この曲で同じ部分がなん度も繰り返されてとても印象的です。

「冷めた紅茶」、「雨雲」、「灰色」とどんよりした雰囲気を醸し出します。

そして「あなたの写真を見て『そんなに悪くない…悪くない…』」と呟くような歌声…

一緒になった事を後悔したくないと自分に言い聞かせているように感じます。


そして一番。

ペンを走らせる音と共に始まるリリック。

主人公の「Stan」がエミネム宛にファンレターを書いています。

以前送ったファンレターに電話番号や住所を書いたのに返事が来ない事を不満に思っているようです。

スターが返事をよこさない事を不服に思っている時点でアウトな人ですね…

娘の名前をエミネムの曲に因んで考えたり、マニアックな情報を話題にしたりと凄い熱狂ぶりです。

部屋に写真やポスターを貼りまくっていると言っていてますが、逆にドン引きされそうですね。

しかし、まだ一番では冷静に語っています。

手紙が届かないのは郵便局のミスかもね、なんて言っています。

「俺が一番のファン、スタンだ。よろしくな。」という感じで彼にアピールしています。

「エニウェイ」からの韻の踏み方が素人のファンなのにカッコいいです。


そして再びDidoの歌声になってからのMVでは色々ストーリーが見えます。

彼と彼女は当たり前ですが、うまくいっていないようです。

そして偶然にも彼の手紙は本当に郵便局のミスで送付できていないようです。


そして狂気が加速し始める二番。

以前エミネムの握手会で実際に会った時に

「手紙くれたら返事を返すぜ。」

と言われた事を信じてファンレターを書いているのに返事が来ない事に怒りが湧いてきています。

彼はエミネムのコンサートに6歳の弟を連れて行ったことも書いています。

弟もエミネムの事が好きと書いていますが、弟は全然興味なさそうですね。

出待ちで寒空の中サインしてくれるのを待っていたのに「ノー」と言われた事を根に持っているようです。

「弟のためにサインが欲しかったのに酷い!」と弟を使って訴えています。

MVを見るとちょっとしたタイミングが大きな誤解になってしまったようです。

しかし、グッと怒りを飲み込むことはまだできているようです。

胸にエミネムの名前の刺青をした事、妻にずっとエミネムの話をしている事など…

どれほどエミネム愛が強いかアピールしています。

彼が刺青をしたというところで流れる「♪バアァッド…」の声が印象的です。

そして母に暴力を振るう父がいた事、自傷行為もした事などもファンレターに書いています。

チラッと語った部分ですが、彼の人格の大きなバックグラウンドのようです。

ていうか、ファンレターにそんな事書くのもヤバいんですけど…


そして締めくくりは「俺は一番のファン、スタン。」から更に

「追伸、俺たちも一緒になるべきだ」

…「も」ってなんでしょう!???

こんなのファンから貰ったら流石のエミネムでも怖いんじゃないでしょうか。


そしていよいよ彼の中で何かが切れる三番。

MVではDidoの歌の間についに妻に秘密がバレてしまいます。

そこから彼の狂気が爆発します。


これまで「Dear Slim」で始まっていた彼のメッセージ。

三番では「Dear Mr.」になっています。

これは

「俺(エミネム)はファンに手紙や電話なんてしないよ。」

と返事をよこさないエミネムを皮肉っているのでしょうか。


スタンは彼女を車のトランクに入れ、酒を飲んで雨の夜に車を飛ばしています。

片手ハンドルでカセットにエミネムへの最後のメッセージを吹き込みながら…


ここでフィル・コリンズの「In The Air Tonight」という歌が引き合いに出されているのを知りました。

彼はこの歌を「溺れていた人を見捨てた奴をフィルはライブで見かけた。」とおかしな解釈をしています。

「溺れる人=自分」、「エミネム=目撃者」ということでしょう?

エミネムに助けを求めていたのに見ているだけだった、つまり見捨てられたと思い込んだのでしょうか。


手紙も電話もよこさないエミネム、そして秘密を知った妻によって彼の理性が失われています。

酒のせいもあり、怒りと憎しみが彼を飲み込みます。

エミネムの写真やポスターを引き剥がし、車中ではエミネムを呪うような言葉を叫びます。

彼女の喉を切り裂かなかった自分は彼女を窒息させて苦しめない分、エミネムよりもマシだとも…

そんな呪いの言葉、そして彼女の叫び声が入ったカセットをエミネムに送ろうとしているんです。

完全にプッツンきてますね(死語w)


しかし彼は大事な事を忘れていました。

「吹き込んだカセットをどうやってエミネムの元へ届ければいいんだ!?」

急に冷静さを取り戻しましたね。

しかし次の瞬間…


そして四番。

やっと彼からの手紙を読んだエミネムが彼の異常さに気づき返事を綴ります。

ライブでスタンを見つけなかった事を謝り、キャップにサインして送ろうとしています。

スタンに冷静になるよう、優しくアプローチしてしっかり読んでもらおうという誠意が伝わります。

彼女とお腹の子どもを大事にするよう、そしてカウンセリングを受けるよう丁寧に手紙を書いています。

ファンでいてくれることは嬉しいが、距離は保っていて欲しいという感じですね。

そしてリラックスして怒りを鎮め、おかしな事は起こさないようにと願っています。


その流れで前に見たニュースを引き合いに出します。

酒酔い運転で橋から転落した車のトランクに運転手のガールフレンドがいて、彼女は妊娠していたと…

そしてそのニュースを見返した瞬間エミネムは気付きます。


事故を起こしたのは彼だと…


そして彼の座っている窓に…


狂気じみてくるスタンと冷静に諭すエミネムの声色の使い分けが秀逸です。


(2026年6月追記)

歌詞を私なりに訳してみました。

意訳盛り盛りです。

DidoさんとStanくんとEminemさん、色分けしてます。


紅茶がすっかり冷めてしまった頃

なぜか目が覚めてベッドから起きたの

朝の雨のせいで窓は曇ってるから

何も見えやしないわ

たとえ見えたとしてもただ薄暗いだけ

でも壁にかけてるあなたの写真を見ると

そんなに悪くない…悪くはないんだと思ってしまうの



スリムへ

前に手紙を送ったんだけどまだ君から連絡が来ないんだ

携帯、ポケベル、それに家の電話番号を一番最後に書いていたはずだ

秋に手紙を二通送ったんだが、まだ君は受け取ってないようだな

もしかすると郵便局とかがミスって手紙が届いてなかったのかもな

俺も住所を走り書きで書いてしまうことがあるからそのせいかもしれない

ま、とにかく、最近どうだい?

娘さんは元気かい?


俺の彼女も妊娠してるんだ

もうすぐ俺も父親になるんだぜ

もし俺の子が娘だったらなんて名付けると思う?

ボニーって名前にするつもりなんだ


君の叔父さんのロニーのこと、記事で読んだよ

気の毒に思うよ


俺には彼女にフラれたせいで命を絶ったダチがいたんだ


みんなそう言うだろうけど、俺だけは本当に君を理解してるんだ

俺が君の一番のファンなんだ


俺は君がスカムとやっていた頃のインディーズ時代の音源も持ってるんだぜ

部屋には君のポスターや写真をたくさん貼ってるんだ

ローカス時代の曲も知ってるぜ、あれもヤバかったな

とにかく、この手紙が届くのを願うよ

返事くれよな、ちょっとした話でもいいからさ

君の一番のファンより


俺はスタン



紅茶がすっかり冷めてしまった頃

なぜか目が覚めてベッドから起きたの

朝の雨のせいで窓は曇ってるから

何も見えやしないわ

たとえ見えたとしてもただ薄暗いだけ

でも壁にかけてるあなたの写真を見ると

そんなに悪くない…悪くはないんだと思ってしまうの



スリムへ


まだ電話も手紙もよこしてくれないんだな

返事をくれる時間があると良いんだけどな


俺はイカれてるわけじゃない

俺はただお前がファンのみんなに応えないのは間違ってると思ってるんだ

コンサートの時に出待ちしてる俺と話したくないならそれはいいんだ

でもマシューにサインくらいしてくれてもよかったんじゃないか?

俺の弟のことだよ

あいつはまだ6歳なんだぜ

俺たちはお前のために極寒の中4時間も待ってたんだ

なのにお前は「ノー」って言ったんだ

あれは酷すぎだ

お前は弟にとって憧れの人なんだ

アイツはお前みたいになりたいと思っているんだ

アイツは俺よりのお前の事が好きなんだ


俺はイカれてるわけじゃない

嘘をつかれるのがイヤなだけだ

デンバーで会った時のこと、覚えてるか?

俺が手紙を書いたら返事をくれるって言ったこと


ほら、俺もある意味お前と同じ境遇なんだ

俺も自分の父親の事を知らないんだ

奴はいつも他に女を作ったり、お袋に暴力を振るったりしてたんだ

お前が歌の中で言っている事が重なるんだよ


最悪な日にはお前の曲を聴いては全部忘れてるんだ

俺は他に何もないから落ち込んでる時はその歌が救いになるんだ


俺はお前の名前をタトゥーにして胸に刻んだんだぜ


時々、どれだけ血が出るのか自分を傷つけることもあるんだ

アドレナリンみたいなものさ

痛みで色んな記憶が蘇るんだ

お前が言っている事は全部本当さ

それを言葉にしてくれるから尊敬しているんだ


俺の彼女は俺が一日中ずっとお前の事を話すから嫉妬してるんだ

でもさスリム、彼女はお前のことを俺のようには知らないんだ

いや、誰もお前の事を知らないさ、俺以外は

彼女は俺たちみたいな人間がどんな生き方をしてきたかなんてわからないのさ


一度くらい電話くれてもいいだろ?

一番のファンの俺を無視したこと、いつか後悔することになるぞ


スタンより

PS:俺たちは惹かれ合ってるんだ


紅茶がすっかり冷めてしまった頃

なぜか目が覚めてベッドから起きたの

朝の雨のせいで窓は曇ってるから

何も見えやしないわ

たとえ見えたとしてもただ薄暗いだけ

でも壁にかけてるあなたの写真を見ると

そんなに悪くない…悪くはないんだと思ってしまうの


「ホニャララさんへ

私はファンに電話したり手紙を出したりしないマトモな人間です」


これがテメェに送る最後のブツだ

半年も音沙汰ないって、俺なんか相手にする価値もないってか?

前の二つの手紙がちゃんと届いた事はわかってるんだ

住所もちゃんと書いたんだからな

で、これは俺があんたに送る俺の声が入ったカセットだ

ちゃんと聞けよ

今車の中だ

フリーウェイを140とか150キロ(90マイル)で飛ばしてる

よぉ、スリム、ウォッカをガブ飲みしたぜ、歌でやってみろって言ったよな


フィル・コリンズの「夜の囁き(In the Air of Tonight)」って曲知ってるか?

溺れているのを助けられたのに助けなかった男の歌だ

そしてフィルはその様子を見ていたんだ

そしてある日のショーでフィルはそいつを見つけた…そういう歌だ


これもそんな感じだ

お前は溺れている俺を助ける事ができたはずなんだ


でももう遅い

鎮静剤を山ほど飲んじまった

…すげぇ眠い…


手紙一通でも、電話一本でも良かった

返事が欲しかっただけなんだ


壁に貼ってたあんたの写真は全部引き裂いてやった

愛してたんだ、スリム

俺たちは通じ合ってると思っていた


考えてみてくれ

あんたがぶち壊したんだ


眠れなくなればいい、そして眠れる事を夢見るがいい

そして夢見る時は眠れずに叫び狂うがいい

後悔の念に蝕まれて俺なしじゃ息すらできなくなればいい


なぁ、スリム?


…黙れクソ女!今喋ってるんだ!


よぉスリム、あれは俺の彼女の叫び声だ

トランクの中からだけどな

喉は掻っ切ってない

縛っただけさ

俺はあんたと違うからな

もし息できなければアイツは死ぬより苦しい目に遭うからな


よし、続けよう、もうすぐで橋にさしかかるぞ

ちょっと待てよ、俺はこれをどうやって送ればいいんだ?


紅茶がすっかり冷めてしまった頃

なぜか目が覚めてベッドから起きたの

朝の雨のせいで窓は曇ってるから

何も見えやしないわ

たとえ見えたとしてもただ薄暗いだけ

でも壁にかけてるあなたの写真を見ると

そんなに悪くない…悪くはないんだと思ってしまうの


スタンへ


もっと早く手紙を書くつもりだったけど、忙しくて遅くなってすまない


彼女は妊娠しているんだってな

何ヶ月目なのかな?

でさ、娘にそう名付けてくれるなんて、本当に嬉しいよ

君の弟へのサインもあるよ

スターターのキャップに書いたからね


コンサートの時、君を見つけられなくてすまなかった

気づかなかったみたいだ

君のことを嫌ってわざとそういう事をしていたと誤解しないでほしい


でもさ、自分の手首を切るのが好きだなんて…何言ってるんだ?

俺はただ悪ふざけであんな事言ってるだけだぜ

頼むよお前、メチャクチャだぜ


色々問題抱えてそうだな、スタン

カウンセリングとか必要だと思うんだ

気が滅入った時でも衝動的な事をしなくて済むようになるためにも


それとさ、惹かれ合ってるってどういう意味だ?

悪いけど、そういうこと言われると会いたくなくなっちゃうぜ


お前と彼女はお互いを必要としてると思うぜ

そしてもっと彼女を大切にしなよ

この手紙が届いて読んでくれる事を願うよ

この手紙が間に合う事を願うよ


自分を傷つけてしまう前に、少し落ち着けよ

そうすればきっとうまくやっていけるさ


君に影響を与えてる事は嬉しいよ

でもねスタン、なぜそこまでイカれてるんだよ?

俺は君にファンであってほしいと願っている事を理解してくれ

でもそこまで思い詰めるのはやめてくれ


最近見たニュース、あれは気分が悪かったな

どっかの馬鹿が酒を飲んで車を運転して橋を渡ろうとしたんだ

彼女をトランクに閉じ込めてさ

しかも彼女は妊娠してたんだ

車の中にカセットテープがあるのを警察が見つけたんだ

でもそれが誰宛ての物かは発表していないんだ


そういえば…


あのニュースで聞いた名前は…


あれは…君だったのか!


なんて事だ…



最後に、サンプリングされたDidoの「Thank You」。

冒頭の部分は暗めの印象ですが、だんだん優しい光に包まれるような雰囲気になるほっこりソングです。

「Stan」を聴いた後に聴くと余計に救われた感じがします。


因みに後にDidoは子供を授かって息子に「Stanley」と名付けているそうです。

ただ、この曲とは無関係で、昔から付けようと思っていた名前だと言っていたそうです。


今回の英単語:Autograph (3:33)

意味:著名人や芸名のサイン

Signは「看板」や「記号」の意味になってしまいます。

Signatureはいわゆるサインですが、こちらは本名での「署名」という意味です。


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