Natalie Imbruglia - Torn
ナタリー・インブルーリア
トーン
back to 1997
今回の英単語:Dignify(-fied) (0:52)
意味:威厳を付ける、高貴にする、尊くする、もったいつける
出会った頃は「凛として超カッコいい!」って思っていた彼、でもそんな彼に泣かされる羽目になるとは…
【可哀想なのは誰?】
90年代のポップス集を作るとするなら100人中100人が入れるでしょう!
それほど強烈に印象に残るキャッチーさが魅力の曲です。
オーストラリア出身の彼女。
ミュージシャンとして活躍すべく、イギリスに移住してつかんだ世界的ヒット曲です。
シュワヮ-ン…キラリーンと始まるイントロ。
軽やかなギターとキーボードの音色が凄く心地よい名曲感を漂わせます。
そして彼女のほんの少しハスキーがかった軽やかな歌声がもう心を掴んで離しません。
この曲、色んな音色のギターが聴こえてくるのも心地よいです。
彼女の話に「なになに?」、「そうなんだ。」と相槌しているような音です。
最初アコギがセンターから支えて、右からチャラリンチャラリンという感じの音色。
それに合わせて「ちょっと話を聞いてくれる?」という感じで語るように歌う彼女。
Bメロに入って「声を大きくせずにはいられない!」という気持ちが強くなってきます。
二番では左から歪んだ音のギュワ〜ンギュワ〜ンという音も参加します。
それまでのギターの音とは対比的で、互いに曲の途中途中でアクセントになって素敵ですよね。
そしてなんと言ってもキャッチーなメロディ!
サビは自分の気持ちを相手にぶつけるように訴えかけます。
ちょっと一瞬冷静に自分の置かれた状況も見たりはしています。
でもやっぱり辛い気持ちを吐き出しちゃいます。
気持ちの波が伝わるサビ、良いですよね〜。
私のツボはこのサビでさりげなく入っているハモりです。
特に「ディッス ィズ ハゥアフィール」の部分が気持ちいい!
最後は気持ちを吹っ切ったかのように鳴り響くエレキギターが鳴り響きます。
この未来への希望が見えるようなアウトロも大好きです!
歌詞は彼との恋を終わらせた彼女の心の痛みを綴っています。
…が、ちょっと引っかかるんですよね。
歌詞をかいつまんで見てみましょう。
彼が生き返ったのかと思った
彼は温かみがあってりんとしていた
泣くとはどういうことなのか彼は教えてくれた
ただの失恋ソングとしては不思議な歌詞ですね。
そしてこう続きます。
あなたは私が愛した人にはなれなかった
そうなんです!
彼女にはかつて愛していたのに亡くなってしまった人がいたのです!
そして現在、恋人として付き合っていた彼くん、見た目がその人にそっくりだったんです!
だから彼女さんは彼くんとあの人と重ねてしまったんですね…
でもやっぱり彼くんは別の人。
彼くんは悪気はなかったのかもしれませんが彼女さんの理想とは違っていました。
彼くんとの会話もなくなり、虚しさだけが残る彼女さん。
彼くんも頑張っていたのかもしれません。
でも亡くなった人と比べられるとたまったものではありませんね。
二番で彼女さんはちゃんとこう言っています。
占い師の言葉は本当だった
聖なる光を見るのではなく、現実を見るべきだった
そう、彼女も頭ではわかっているんです。
でも心はどうしてもあの人を忘れられない。
あの人にそっくりな人と出会っちゃったのが不運でした…
繰り返されるサビは彼女の心の叫びです。
もう神様なんか信じない
心が寒くて自分を恥じてもしまう
決して幻想は現実にはならない
もう目が覚めたの
空は完璧に晴れてるのにモヤモヤしているように見えるわ
あなたとは出会うのがちょっと遅かったの
わたしは気持ちの整理ができないままなの
彼女さん、今より若い頃にあの人に合ったという事は、もしかしたら初恋だったのかもしれません。
初恋フィルターであの人が完璧に見えたのかもしれませんね。
その人が亡くなった事で思い出が美化されたままというのも大きいでしょう。
そんな彼女さんと付き合う彼くんは不利です。
ちなみにタイトルの「Torn」ですが、「I'm torn.」で「かなり迷う」という意味になります。
もとの「Tear」は引き裂かれるという意味ですがそこから派生したフレーズのようです。
引き裂かれた二つのもののどちらかを選ぶのにとても困るという感じです。
さてさて、約30年目にしてこの曲の印象がガラッと変わりました。
これまでなんとなく彼女さんだけが可哀想というイメージの曲でした。
しかし歌詞を詳しく読み取っていくと、今の彼氏くんも可哀想と感じてしまいます。
彼女さんの初めての大恋愛中に亡くなってしまった過去の人と比べられるなんて…
彼女さんだけでなく、彼くんも傷つくという悲しい終わり方の恋です。
彼女さん、最後のエレキギターの音のように気持ちをふっ切ってほしいですね。
あの人の面影を追わない恋ができますように。
彼くんもこの恋がトラウマになりませんように…
MVも印象的です。
とある部屋に登場のナタリーさん、そしてイケメンさん。
日当たりの良い二人の愛の巣という感じでしょうか。
二人は当然のようにラブラブな良い雰囲気に…なったかと思うとオジサン登場!?
「あ〜、撮影シーンを演出したMVね!」と気づくと逆に目が離せなくなります。
だって、そこからさまざまな撮影シーンと待機中の様子が入れ替わっていくんですから。
役に入った場面、オフになった場面がコロコロと変わります。
なんだかその熱量の対比が面白いですね!
そして演技とわかっているのに恋人同士に見えてしまうのも凄いです。
俳優さんってパッと雰囲気を作れるというのに改めて感心してしまいます。
私のお気に入りシーンは後半のキスシーン!
濃厚なキスシーンなのに、カットの声がかかった瞬間にスッと素に戻る感じ。
観てる方がなんだか見てはいけないものを見ている感覚になりますw
そして大画面、高画質でMVを観られる現在。
ナタリーさんのドアップが…麗しいっ!!!
90年代にブラウン管で観ていた頃とは比べものにならないドキドキ感ですw
MV終盤でセットが着々と片付けられていくさまも興味深いです。
一般の人は見られない光景なのでそれが作り物だということに驚きます。
本物の部屋かと思っていたらスタジオだったとは…
撮影シーンはもちろん、オフシーンも演技なんでしょうね。
画面の向こうの世界の方々は凄いですね〜!
演技シーンと撮影の裏側も楽しめる、MVとしても90年代を代表する名作です。
この曲、ほんとついこの前までカバー曲というのを知りませんでした。
オリジナルはEdnaswap(エドナスワップ)というアメリカのバンド…
…と思ったらセルフカバーでした。
実はコチラは原曲の制作者が結成したバンドらしいです。
ナタリーさんバージョンの2年前です。
90年代っぽい憂あるカッコいいロックナンバーですね!
そしてナタリーさんがカバーする前にトリーネ・レインさんもカバーしていました。
それがコチラ。
すみません、彼女の名前は聞いたことある方なのに全然聴いた事なかったです。
コチラは結構ソウルフルで力強いですね。
そして曲として世に初めて出たオリジナル曲はコチラ。
デンマークのリス・ソーレンセンさんによるものです。
曲名は「Brændt(ブレント)」としてリリースされました。
こちらはラテンな雰囲気もあって情熱的ですね〜。
このブログを書くにあたって初めて知りましたが、結構好きかも。
今回は思いのほか長くなっちゃいましたね。
また次回もよろしくお願いします。